円安が続く時代での、海外不動産投資戦略とは!?

海外不動産

~「円安だから海外不動産を買わない」は、本当に正しい判断なのか~

ここ数年、海外不動産について相談を受けていると、非常によく聞く言葉があります。

「今は円安なので、海外不動産を買うタイミングではないですよね?」

確かに、円だけを基準に考えればその感覚は自然です。1ドル100円の時代と1ドル150円前後の時代を比較すれば、同じ50万ドルの不動産を購入するために必要な日本円は大きく変わります。海外旅行ですら高く感じる状況ですから、数千万円単位の不動産購入となれば、なおさら円安を気にするのは当然でしょう。

しかし私は、海外不動産投資については少し違う見方をしています。

円安だから海外不動産を買わないのではなく、円安が長期化する可能性があるからこそ、円以外の資産を持つ意味を考えるべき時代に入っている。

これが私の基本的な考え方です。

もちろん、現在の為替水準を無視して今すぐ何でも買えば良いという話ではありません。海外不動産には物件価格、賃貸利回り、現地税制、流動性、為替、送金、管理など様々なリスクがあります。

ただ、「円高になるまで待とう」と考えて何年も円だけを持ち続けることも、一つの為替ポジションを取っていることと同じです。

今回は、コロナ禍以降続いてきた円安の背景から、今後円高へ戻る可能性、そして円安時代に私ならどのように海外不動産へ投資するのかまで、金融と不動産の両方の観点から考えてみたいと思います。

そもそも、なぜここまで円安になったのか

円安には一つだけではなく、複数の要因があります。

最も分かりやすかったのは、日本と海外との金利差です。コロナ禍以降、アメリカをはじめとする主要国がインフレ抑制のため急速に金利を引き上げる一方、日本銀行は長期間にわたり超低金利政策を続けました。

金利の高いドルを持てば利息が得られる一方、金利の低い円を持っても利息がほとんど付かない。この環境では、円を売ってドルなどの高金利通貨を保有する動きが強くなりやすくなります。

2026年現在は状況も変化しており、日本銀行も金融政策の正常化を進めています。2026年8月12日時点で、日本銀行の補完当座預金制度に適用される金利は1.0%となっており、以前のゼロ金利時代とは明らかに状況が異なります。IMFも日本について、金融緩和の解除を段階的に進め、政策金利を中立水準へ近づけていくことが適切との見方を示しています。 (日本オリンピック委員会)

つまり、「日本は永遠にゼロ金利だから、永久に円安になる」という単純な話ではありません。

実際、日米金利差が縮小すれば円高方向への圧力になる可能性はあります。

しかし、ここで重要なのは、金利差だけで円相場が決まっているわけでもないという点です。IMFも2026年の日本に関する分析で、近年の円ドル相場が単純な日米金利差だけでは説明できない局面に入っていることを指摘しています。 (IMF eLibrary)

これが、これからの為替を考える上で非常に重要です。

円は昔の水準まで簡単に戻るのか

これは誰にも断定できません。

私は「これから必ず円安になる」とも、「1ドル100円台まで戻る」とも言い切るべきではないと思っています。

為替を断定する人はいますが、世界最大の金融機関ですら為替を正確に予測し続けることはできません。

ただ、中長期的に考えると、日本には円を以前ほど強くしにくい構造的な要因が複数存在します。

少子高齢化、人口減少、エネルギーや資源の海外依存、海外へのデジタルサービス支払い、国内投資機会と海外投資収益の構造変化などです。

一方、日本企業や日本人は膨大な海外資産を保有しています。財務省の国際収支統計でも、日本は海外投資から得る第一次所得で大きな黒字を生み出しています。2025年度の第一次所得収支は約41兆円の黒字でした。つまり、日本は海外へ投資し、そこから配当や利息を得る「投資国家」へ大きく変化しているとも言えます。 (財務省)

ここは非常に示唆的です。

国として海外資産から収益を得ているのであれば、個人の資産形成についても「日本円だけを持つ」という考え方を見直す余地があります。

円安は海外不動産購入には確かに不利

ここは誤魔化してはいけません。

円安は、これから海外不動産を購入する人にとって入口ではマイナスです。

例えば、30万ドルの不動産を考えてみます。

1ドル100円なら3,000万円です。

1ドル150円なら4,500万円です。

同じ不動産でも、必要な日本円は1,500万円も増えます。

ですから、「円安は海外不動産投資に関係ありません」という説明は間違っています。

大いに関係します。

問題は、その先です。

不動産は購入した瞬間に終わる投資ではありません。

5年、10年、20年と保有し、その間に家賃を受け取り、最終的に売却します。

そうすると、為替の意味が変わってきます。

海外不動産を持った瞬間から「外貨を稼ぐ側」になる

海外不動産を購入する際には、円安が不利になります。

しかし購入した後は逆です。

例えばアメリカ不動産を所有していれば、家賃は原則としてドルで発生します。

英国ならポンド。

欧州ならユーロ。

モンゴルなら現地通貨や契約条件によって米ドル等との関係を持つことになります。

つまり、一度海外資産へ円を移した後は、

円を使って外貨を買う人から、外貨を生み出す資産を所有する人へ立場が変わる

わけです。

これが海外不動産の非常に大きな特徴だと思っています。

仮にドル建てで年間3万ドルの純家賃収入があるとします。

1ドル110円なら日本円換算330万円です。

1ドル150円なら450万円です。

ドルベースの賃料が変わらなくても、円換算したキャッシュフローは120万円増えます。

売却時も同じです。

50万ドルで購入した不動産を60万ドルで売却できた場合、キャピタルゲインは10万ドルですが、日本人投資家から見れば物件価格だけでなく売却時の為替もリターンを左右します。

つまり海外不動産は、

不動産投資+外貨資産投資

という二つの性格を持っているのです。

「円安だから待つ」ことにもリスクがある

ここで一つ考えてみてください。

現在、円安だから海外不動産を買わず、「1ドル120円になったら買おう」と考えたとします。

確かに120円まで円高になれば、大成功です。

しかし、その間に海外不動産価格が20%上昇したらどうでしょうか。

為替では有利になったものの、物件価格が上昇して結局安く買えない可能性があります。

さらに家賃収入を3年間失っています。

これが投資では非常に重要です。

為替だけを待つということは、不動産価格と賃料収入という二つの要素を無視することになります。

例えば人口が増えている都市、住宅供給が不足している都市、経済成長している新興国では、円高を待っている間に不動産価格自体が上昇する可能性があります。

海外不動産では、

為替

物件価格

家賃

この三つを同時に考える必要があります。

「円高になるまで待つ」という一点だけで投資判断するのは、実はかなり危険です。

私なら一括購入より「時間分散」を考える

では、今のような円安環境で私ならどうするか。

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