~ドバイに住めば税金ゼロ?海外移住で本当に手取りは増えるのか~
「税金が高すぎるので、海外移住を考えています」
「ドバイへ移住すれば所得税がゼロになるんですよね?」
「シンガポールに会社を作って、海外に住めば日本の税金を払わなくて済みますか?」
高所得者や経営者、投資家の方と話していると、こうした話題が出ることがあります。
確かに日本は、所得が増えるほど税負担も大きくなる国です。
個人所得税は累進課税ですし、住民税や社会保険料まで考えると、高所得者ほど「これだけ働いてもかなり税金で持っていかれる」という感覚を持つのは理解できます。
一方、世界へ目を向けると税制は全く違います。
代表例がUAE、いわゆるドバイです。
UAEのFederal Tax Authorityは、現在個人所得税の導入を検討していないと説明しています。また、個人がUAEで事業を行う場合には一定条件で法人税の対象になりますが、給与、個人投資所得、不動産投資所得は、その個人事業に対する法人税判定上のBusiness Activityから除外されています。
それなら、「日本を出てドバイへ住めばいい」と思いますよね。
実際、高所得者であれば海外移住によって税負担が大きく変わる可能性があります。
しかし、国際税務はそんなに単純ではありません。
私は海外移住による節税を考える際、
「税率が低い国へ行く」
という発想から始めるべきではないと思っています。
見るべきなのは、
「生活・事業・資産を本当に海外へ移した結果、税引後でいくら手元に残るのか」
です。
今回は2026年10月現在の日本の税制を前提に、「節税目的で税金の安い国へ移住することは本当に賢いのか?」を考えてみたいと思います。
そもそも海外へ移住すれば日本の所得税は払わなくていいのか?
まずここからです。
海外へ引っ越せば、自動的に日本の税金から解放されるわけではありません。
日本の所得税法では、
国内に「住所」を有する人、または現在まで引き続き1年以上「居所」を有する人を原則として「居住者」としています。
それ以外が「非居住者」です。
そしてここでいう「住所」とは、住民票がどこにあるかだけではありません。
国税庁は、
「生活の本拠」
がどこにあるかを客観的事実によって判定すると説明しています。
複数の国に滞在している人については、
住居。
職業。
資産の所在。
親族の居住状況。
国籍。
などの客観的事実から生活の本拠を判断します。
つまり、
「住民票を海外へ抜いたから、今日から日本の非居住者です」
とは限りません。
ここは非常に重要です。
「年間183日海外にいれば大丈夫」も日本では必ずしも正しくない
海外移住について調べると、
「年間183日以上海外にいれば非居住者になる」
という情報をよく見かけます。
これはかなり危険な理解です。
183日基準を採用している国は多くあります。
例えばシンガポールでは、外国人について前年中に183日以上滞在・勤務することなどが税務上の居住者判定の基準になっています。
しかし日本の国内法における居住者判定は、
単純な183日ルールではありません。
重要なのは生活の本拠です。
例えばドバイにマンションを借りていても、
家族は日本。
自宅も日本。
主要事業も日本。
会社も日本。
頻繁に日本へ帰国。
仕事の中心も日本。
という状況なら、
「本当に生活の本拠はUAEなのか?」
という問題が出てきます。
逆に、
UAEに自宅がある。
家族も移住している。
現地で生活している。
事業活動も海外中心。
日本の住居を整理している。
年間の大部分を海外で過ごしている。
となれば、海外へ生活の本拠を移したという実態はかなり強くなります。
つまり国際税務では、
形式より実態
が非常に重要です。
日本の「居住者」と「非居住者」では何が違うのか?
ここが海外移住による節税の中心部分です。
日本の「非永住者以外の居住者」は、原則として日本国内だけではなく海外で発生した所得も含め、全世界所得が日本の課税対象になります。
例えば日本に住みながら、
アメリカ株で利益を出す。
モンゴル不動産から家賃を受け取る。
海外法人から配当を受け取る。
海外銀行から利息を受け取る。
原則として、日本側の課税関係も検討しなければなりません。
一方、正式に日本の非居住者になれば、日本で課税される範囲は基本的に「国内源泉所得」へ変わります。
これが非常に大きい。
だから所得の大部分が海外で発生している経営者や投資家ほど、税務上の居住地によって税負担が大きく変わる可能性があるわけです。
では、ドバイへ移住すれば税金はほぼゼロになるのか?
海外節税で最も有名なのがUAEです。
特にドバイ。
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