海外不動産を買うときは、現地法人を設立した方が良いのか!?

海外不動産

海外不動産の購入を検討していると、一度は出てくるのが「個人で買うのか、日本法人で買うのか、それとも現地法人を作って買うのか」という問題です。

例えばアメリカの不動産を購入するためにアメリカでLLCを設立する。イギリスで会社を作ってロンドンの物件を取得する。東南アジアや中央アジアで現地法人を設立し、その法人名義で不動産を保有する。このようなスキームは海外不動産では珍しくありません。

では、海外不動産を購入するなら現地法人を作った方が良いのでしょうか。

結論から言えば、私は「海外不動産だから現地法人を作る」という考え方には反対です。むしろ一般的な日本人投資家が投資用マンションを1戸、2戸購入する程度であれば、現地法人を設立しない方が合理的なケースもかなりあります。

一方で、購入金額が大きくなり、複数物件を保有し、現地で借入を行い、共同投資家を入れ、開発や売買まで行うのであれば話は変わります。その段階になると現地法人を作るメリットが急激に大きくなることがあります。

重要なのは、現地法人を作ること自体が目的ではないということです。

海外不動産では、購入時だけではなく、保有中の賃料、融資、税金、責任分離、売却、配当、日本への送金、そして最終的に自分の手元へお金を戻すところまで設計しなければなりません。

私は海外不動産の保有形態を考える場合、「誰の名義で買えば税率が一番低いか」ではなく、取得から売却・資金還流までの全体を見て判断すべきだと考えています。

海外不動産には大きく3つの保有方法がある

日本人が海外不動産を購入する場合、大きく考えると個人名義、日本法人名義、現地法人名義という3つの選択肢があります。

個人で直接所有する方法は最もシンプルです。自分が物件の所有者となり、家賃を受け取り、最終的に自分で売却します。投資規模が小さく、1戸だけを長期保有するのであれば、非常に分かりやすい形です。

次が日本法人による直接所有です。日本で資産管理会社や事業会社を持っている人であれば、その日本法人で海外不動産を購入する方法があります。この場合、日本法人が直接海外物件を所有します。

そして3つ目が現地法人です。アメリカならLLCやCorporation、イギリスならLtdなど、投資先の国に法人や事業体を設立し、その会社が物件を取得します。日本側から見ると、自分または日本法人が現地法人の株主となり、その現地法人の下に不動産が存在する構造になります。

ここで多くの人が「現地法人にした方が節税できそう」と考えるのですが、実際にはそれほど単純ではありません。

現地法人を作っても、不動産所在地国の税金から逃れられるわけではない

不動産税務の大原則として理解しておきたいのが、不動産は所在地国との結び付きが非常に強い資産だということです。

日本人が海外法人を経由して海外不動産を所有したからといって、その不動産から発生する賃料や売却益が自動的に無税になるわけではありません。

例えばイギリスでは、非英国法人であっても英国の不動産事業から得る所得はCorporation Taxの対象となり、英国不動産の売却益についても英国の課税対象となり得ます。つまり英国法人を作るか海外法人で持つか以前に、英国不動産から発生した利益そのものに英国側の課税権が存在します。 

アメリカでも同じ発想が重要です。外国人による米国不動産の売却にはFIRPTAという制度があり、原則として買主側に売却代金の15%を源泉徴収する仕組みがあります。15%が最終税率という意味ではありませんが、外国人が米国不動産を売却する際の重要な資金繰り・税務論点になります。 

したがって現地法人は、税金を消すための箱ではありません。

むしろ現地法人を設立すると、その法人の法人税申告、会計、銀行口座、登記、年次報告など新しい義務が追加されます。

節税できる可能性もありますが、逆に管理コストが増えて最終的な手取りが減ることもあります。

それでも現地法人を作る最大の理由は「責任分離」にある

では、なぜ世界中の不動産投資家は法人を使うのでしょうか。

一つの大きな理由がリスク管理です。

例えばアメリカで賃貸物件を複数所有するとします。入居者が物件内で事故を起こした、第三者から損害賠償請求を受けた、施工上の問題が発生した。このような時、物件を個人で直接保有している場合と、一定の有限責任事業体を介して所有している場合では法的なリスク管理の考え方が変わります。

もちろん法人を作れば個人責任が完全に消えるという意味ではありません。個人保証、不法行為、法人格否認、現地法などによって責任が及ぶこともあります。

それでも不動産事業と個人資産を切り分けるという意味では、法人保有には大きな意味があります。

特に投資金額が数億円、数十億円と大きくなってくると、税率だけではなくリスク分離の重要性が高くなります。

共同投資なら現地法人のメリットはさらに大きくなる

例えば日本人投資家3人で海外不動産を購入するとします。

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