富裕層ほど、ロンドン不動産を好む理由とは!?

2026.10.08
海外不動産

~利回りだけなら他国の方が高い。それでも世界のお金持ちがロンドンに不動産を持つ本当の理由~

海外不動産の仕事を長くしていると、資産規模によって不動産の選び方がかなり違うことに気付きます。

例えば自己資金1,000万円の人が海外不動産を探す場合、利回り8%、10%という数字は非常に魅力的に見えます。価格上昇率も重要ですし、できるだけ少ない自己資金で高いリターンを取りたいと考えるのは当然です。

ところが総資産10億円、20億円、100億円という富裕層になると、不動産に求めるものが少し変わってきます。

もちろんリターンは重要です。しかし、単純に利回りが最も高い国を探しているわけではありません。

むしろ、資産価値が大きく毀損しないこと、世界中の富裕層が価値を認めること、売却市場が存在すること、法制度が比較的明確であること、政治・経済・通貨を分散できること、次世代へ資産を承継しやすいことなどが重要になります。

そして、この条件を世界レベルで考えた時に必ず候補に入ってくる都市があります。

ロンドンです。

私自身、海外不動産に携わる中でアメリカ、イギリス、東南アジア、モンゴルをはじめ様々な市場を見てきましたが、ロンドン不動産は少し特殊な市場だと思っています。

ロンドン中心部の高級住宅は、表面利回りだけなら決して高くありません。Savillsによれば、2026年現在のPrime Central Londonの平均グロス利回りはフラットで約4.0%、戸建てでは約3.3%です。5年前の2.8%、2.6%からは上昇していますが、それでも新興国不動産のような8%、10%という世界ではありません。 

それにもかかわらず、世界中の富裕層がロンドンに不動産を所有しています。

なぜでしょうか。

私はその理由を理解するためには、不動産を「収益商品」としてだけではなく、「資産を置いておく場所」として考える必要があると思っています。

富裕層になるほど「増やす」だけではなく「守る」が重要になる

例えば資産1,000万円の人が10%のリターンを得れば100万円です。3%なら30万円なので、その差は70万円あります。

資産形成の初期段階では、このリターンの差は非常に重要です。

しかし資産100億円を持っている人はどうでしょうか。

もちろん100億円を200億円にしたい人もいるでしょう。しかし、それ以上に重要なのが100億円を30億円にしないことです。

資産規模が大きくなるほど、リスクを取って最大リターンを狙う必要性は相対的に小さくなります。

そこで重要になるのが資産保全です。

日本円だけで100億円を持つ。

日本株だけで100億円を持つ。

日本不動産だけで100億円を持つ。

これは資産額が大きいほど、一つの国、一つの通貨、一つの制度への集中リスクになります。

そこで一部を米ドルへ移す。一部をポンドへ移す。ニューヨークに不動産を持つ。ロンドンにも不動産を持つ。

こうして資産を世界へ分散していきます。

つまり富裕層にとってロンドン不動産は、年間何%儲かるかだけではなく、日本とは違う国・通貨・法制度の中へ資産を置くための器としての意味を持っています。

ここが一般的な利回り重視の不動産投資とは大きく違うところです。

ロンドンは「世界中の人が買い手になり得る」

私がロンドン不動産を評価する最大の理由の一つが、買い手の国籍が非常に広いことです。

東京の高級不動産を売却する場合、もちろん海外投資家もいますが、基本的には日本市場の影響を強く受けます。

一方、Prime Central Londonでは事情が違います。

イギリス人だけではありません。

中東、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど世界中の富裕層が市場に参加します。

つまりロンドン中心部の一等地を持つということは、売却時の潜在的な買い手が英国国内だけに限定されにくいということです。

これは資産価値を考えるうえで非常に重要です。

私は海外不動産投資で利回り以上に「誰が出口の買い手になるのか」を重視しています。

新興国で外国人向けコンドミニアムを購入し、5年後に売ろうと思ったら、次の外国人投資家へ売るしかない。このような物件は少なくありません。

現地人の所得ではその価格を買えないからです。

ロンドン中心部の場合は構造が違います。

英国の富裕層、世界の富裕層、ファミリーオフィス、長期投資家、実需層など複数の買い手が存在します。

もちろん、ロンドンだから何でも簡単に売れるわけではありません。価格を間違えれば売れませんし、立地や建物によって流動性には大きな差があります。

それでも「世界中の資本が買い手候補になる」という点は、ロンドンの非常に大きな強みです。

なぜロンドンは世界の富裕層を引き付けるのか

ロンドンの強さは、不動産単体では説明できません。

金融、教育、法律、文化、企業、観光、交通、政治、言語などが一つの都市に集積していることが重要です。

ロンドンは世界最大級の金融都市です。City of LondonやCanary Wharfには銀行、保険会社、投資会社、ファンド、法律事務所、会計事務所などが集積しています。

さらにOxfordやCambridgeはロンドン市内ではありませんが、英国には世界最高水準の教育機関があり、ロンドンにもImperial College London、UCL、LSE、King’s College Londonなど世界的な大学があります。

富裕層にとって教育は非常に重要です。

子供をイギリスへ留学させる。その間にロンドンのマンションを購入する。子供が卒業した後は賃貸に出す。将来的には自分たちのセカンドハウスとして使う。

こうした購入動機が普通に存在します。

不動産を単なる投資商品としてではなく、教育、生活、資産保全を兼ねた資産として購入するわけです。

だからPrime Central Londonには、利回りだけでは説明できない需要があります。

世界共通言語が英語であることも大きい

これは意外と軽視されますが、非常に重要です。

ロンドンは英語圏です。

中国人富裕層、中東の富裕層、インド人富裕層、日本人、ヨーロッパ人、アメリカ人。世界中の人が比較的ビジネスや生活を行いやすい。

契約書も英語。

金融も英語。

大学教育も英語。

ビジネスも英語。

世界中の富裕層から見れば、自国以外に資産を置く候補として非常に分かりやすい都市です。

例えば100億円の資産を持つアジアの経営者が海外へ10億円を分散させようと考えた時、全く知らない国の不動産へ10億円を置くのは心理的なハードルがあります。

ロンドンなら知っている。家族も行ったことがある。子供が留学している。銀行もある。弁護士もいる。

この安心感は非常に大きいと思います。

イギリスの法制度への信頼も大きい

海外不動産で本当に重要なのは、価格や利回りだけではありません。

所有権が守られるかどうかです。

外国人だから突然不利な扱いを受けないか。登記制度は機能しているか。契約が履行されなかった時に裁判制度が機能するか。

資産100億円を持つ人が5億円の海外不動産を買う場合、利回りが1%高いことより、この5億円の所有権が長期間安定して守られることの方が重要になる場合があります。

イングランド・ウェールズではLand Registryを中心とした不動産登記制度があり、所有権や権利関係を確認できます。

海外法人による英国不動産保有についても透明性規制は強化されており、英国不動産を取得・保有する海外法人にはRegister of Overseas Entitiesを通じた実質的支配者情報等の登録制度があります。 

富裕層にとって重要なのは、税金がゼロであることではありません。

ルールが存在し、そのルールが予測可能であることです。

私は海外不動産では、この「予測可能性」にかなり大きな価値があると思っています。

ロンドン中心部は土地そのものが希少

不動産は最終的には立地です。

Mayfair、Belgravia、Knightsbridge、Chelsea、Kensington、MaryleboneなどPrime Central Londonと呼ばれるエリアには、物理的な限界があります。

土地を新しく作ることはできません。

もちろん再開発はできますが、東京湾岸のように大規模な土地を作り、高層マンションを何十棟も供給するという都市構造とは違います。

特に歴史的建築物や景観規制のあるエリアでは供給が限定されます。

一方で世界中から富裕層が入ってくる。

長期的に見れば、この「世界需要×限定供給」という構造そのものがロンドン中心部の資産価値を支えてきた一つの理由です。

だからこそ私はロンドンでも「ロンドンならどこでも良い」とは全く考えていません。

富裕層が買うべきなのは、10年後、20年後も世界の富裕層が欲しいと思う場所です。

海外不動産ほど、都市名ではなく住所が重要になります。

賃貸需要も非常に厚い

ロンドン不動産のもう一つの強みが賃貸市場です。

2026年のPrime Central London賃貸市場では、Savillsが需要の強さと供給不足を指摘しています。特に週£550~£1,250程度のスタジオ・1ベッドルームは若手専門職や学生の需要が強く、年間を通じて供給が限られています。 

Prime Central Londonのフラット平均グロス利回りも2026年には約4.0%まで上昇しました。5年前は約2.8%だったため、以前よりインカム投資としての条件も改善しています。 

ロンドンには金融機関、法律事務所、コンサルティング会社、IT企業、大学などが集中しています。

世界中から学生やビジネスパーソンが入ってくるため、住宅需要の母体が非常に大きい。

これは投資用不動産としてかなり重要です。

経済が少し悪くなっただけで外国人需要が消えるリゾート地とは構造が違います。

生活するためにロンドンへ来る人がいる。

働くために来る人がいる。

大学へ通うために来る人がいる。

家族で移住する人がいる。

この需要の多様性が賃貸市場の厚みにつながっています。

利回り3~4%でも富裕層が買う理由

ここまで来ると、なぜ富裕層がロンドンを買うのかが分かってきます。

例えば1億円を利回り10%で運用すれば年間1,000万円。

利回り4%なら400万円。

普通に考えれば10%の方が良い。

しかし10%の物件が5年後に7,000万円でしか売れなかったらどうでしょうか。

一方、4%の物件が5年間安定して家賃を生み、1億2,000万円で売れたらどうでしょうか。

さらに前者が流動性の低い現地通貨建て資産で、後者が世界的に取引されるポンド建て資産なら、資産全体における意味も変わります。

だから私は不動産投資では、表面利回りだけを見るべきではないと考えています。

賃料。

価格上昇。

購入費用。

保有コスト。

税金。

為替。

売却費用。

流動性。

これらを全て含めたトータルリターンで考えるべきです。

富裕層になるほど、この考え方が強くなります。

ロンドン不動産は「世界版の一等地不動産」に近い

私はロンドン中心部の優良不動産を、日本人向けに説明するなら「世界版の銀座・麻布・青山」に近いと考えています。

銀座の一等地を買う人は、その土地の表面利回りだけを見ているでしょうか。

もちろん収益性は見ます。

しかしそれ以上に「銀座のこの場所を持っている」という希少性を買っています。

ロンドンも同じです。

Mayfairの一等地。

KnightsbridgeのHarrods周辺。

Belgravia。

Chelsea。

Kensington。

こうした場所には世界共通のブランドがあります。

国籍が違っても、資産価値を理解する人がいます。

これは不動産にとって非常に大きな強みです。

そして2026年のロンドンは、むしろ少し面白い局面にある

ここが今回の記事でかなり重要なポイントです。

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