今回の記事は、私が海外不動産に長年従事している中で、実際にあった保有エピソードを時系列で、実際に購入した方の主観目線で列記します。
管理に間接的に関与していたからこそわかる話です。
ありのままをお届けしたいと思います。
—ニューヨーク1棟レジデンス投資、その「理想」と「現実」—
今でもはっきり覚えています。
その物件を最初に見たのは、ニューヨークのブルックリンでした。まだ再開発が勢いよく進んでいるエリアで、マンハッタンほどではないものの、明らかに人の流れが増えている場所でした。
その時の第一印象は、「これは悪くない」というものでした。特別に華やかな物件ではありませんが、逆に言えば“普通に回る”タイプの建物でした。築年数は約68年、煉瓦造の4階建てレジデンス。全12戸。価格は約6.8百万ドル、日本円で当時の為替レートだとおおよそ7億円台後半という水準でした。
最初に提示された資料には、かなり綺麗な数字が並んでいました。年間賃料収入は約72万ドル。空室率は5%前後。修繕費も一定水準で収まっており、「安定型投資」という印象を強く受ける内容でした。減価償却の試算も含めると、日本法人の利益圧縮にも十分寄与するというシナリオでした。
この時点での想定は、かなり理想的でした。
年間の手残りは、日本円換算でおおよそ2,000万円前後。
保有期間は10年。
10年後にはエリア価値の上昇もあり、売却益も期待できる。
「守りながら増やす」投資としては、かなり優秀に見えました。
ただ、この時点ではまだ、現実は始まっていませんでした。
購入1年目
最初の違和感は、かなり小さなところから始まった
購入して最初の1年は、ほぼ想定通りに進みました。入居率も安定しており、大きなトラブルもありませんでした。むしろ、「やはりニューヨークは強い」と感じる場面の方が多かったと思います。
しかし、細かく見ると、最初の違和感はこの頃からありました。それは修繕費です。事前に提示されていた年間修繕費は約3万ドルでしたが、実際には初年度だけで約6万ドル近くになりました。
理由は単純でした。
築年数です。
事前調査でもある程度は確認していましたが、実際に運用を始めると、想定していなかった細かい修繕が次々に出てきました。給湯設備の一部交換、小さな漏水、電気系統の更新。どれも「緊急ではないが放置できない」というレベルのものばかりでした。
この時点では、まだ大きな問題ではありませんでした。ただ、「数字は必ずズレる」という現実を、最初に感じた瞬間でした。
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