2026年ワールドカップで優勝候補の一つとして注目されている国がスペインです。スペイン代表といえば、かつてはシャビ、イニエスタ、セルヒオ・ブスケツらを中心とした圧倒的なパスサッカーで世界を制した国ですが、現在はラミン・ヤマル、ペドリ、ロドリをはじめとする新しい世代が中心となり、技術力に加えてスピードや個人突破力も備えたチームへ進化しています。
スペインは2010年のワールドカップ優勝国であり、2024年には欧州選手権も制覇しました。2026年大会でも決勝まで勝ち進むなど、世界最高峰のサッカー大国としての存在感を改めて示しています。ただし、スペインという国の魅力はサッカーだけではありません。経済、観光、食文化、気候、移住環境、不動産市場まで含めると、日本人にとって非常に興味深い国です。
一方で、観光客を狙った犯罪、若年層の失業、住宅価格の上昇、観光公害、短期賃貸規制など、現実的な問題も抱えています。今回は、ワールドカップをきっかけにスペインへ興味を持った方に向けて、経済、治安、旅行、移住、不動産投資という複数の視点から、スペインという国の実態を詳しく解説します。
スペインはどのような国なのか
スペインはヨーロッパ南西部のイベリア半島に位置し、フランス、ポルトガルと国境を接しています。人口は約5,000万人で、EUの中では比較的人口規模の大きい国です。首都はマドリードですが、バルセロナ、バレンシア、セビリア、マラガ、ビルバオなど、地方にも世界的に知られた都市が数多くあります。
スペインの特徴は、地域ごとの個性が非常に強いことです。マドリードは政治と金融の中心、バルセロナは観光・デザイン・テクノロジーの中心、バレンシアは地中海沿岸の生活都市、マラガやコスタ・デル・ソルは欧州富裕層やリタイア層に人気のリゾート地域です。
同じスペイン国内でも、言語、文化、食事、気候、政治意識はかなり異なります。特にカタルーニャ州やバスク州では地域独自の言語や文化があり、スペインを一つの価値観で語ることはできません。この多様性は旅行者にとって大きな魅力ですが、移住や不動産投資では地域ごとの制度や市場を細かく確認する必要があります。
スペイン経済は意外に強い
日本では、スペイン経済について「失業率が高い」「財政不安がある」「南欧の弱い国」というイメージを持つ方もいます。確かに、2010年代前半の欧州債務危機では、スペインの銀行、不動産、雇用市場が大きな打撃を受けました。
しかし、2026年時点のスペイン経済は、他のユーロ圏主要国と比較してかなり強い成長を見せています。IMFは2026年の実質GDP成長率を約2.1%、消費者物価上昇率を約3.0%と予測しています。欧州委員会は、国内需要、堅調な労働市場、投資拡大を背景に、2026年の実質GDP成長率を2.4%と予測しています。フランスやドイツなどの主要国よりも高い成長率が期待されている点は注目すべきです。
スペイン経済を支えている大きな柱は観光です。バルセロナ、マドリード、セビリア、グラナダ、マヨルカ島、イビサ島、カナリア諸島など、世界的な観光地を多数抱えています。温暖な気候、美しいビーチ、歴史的建築、食文化、比較的手頃な滞在費が揃っており、ヨーロッパのみならず世界中から観光客を集めています。
ただし、スペインは観光だけで成り立っている国ではありません。自動車、再生可能エネルギー、金融、農業、食品、物流、建設、ファッション、通信、インフラ関連にも強みがあります。世界的なファッションブランドや金融機関、建設・インフラ企業を生み出しており、EU、北アフリカ、ラテンアメリカをつなぐ経済拠点でもあります。
近年はマドリードやバルセロナを中心にスタートアップやテクノロジー企業も増えています。スペイン語圏の市場へ進出する企業にとって、スペインは欧州と中南米をつなぐ重要な拠点です。
スペイン経済が抱える弱点
経済全体は好調ですが、弱点もあります。最大の課題の一つは失業率です。以前より改善しているものの、依然としてEU平均より高く、特に若年層の雇用は不安定です。観光や飲食など季節性の強い産業に依存する地域では、夏と冬で雇用状況が大きく変わります。
また、マドリード、バルセロナ、マラガ、バレンシアなどでは住宅価格や家賃が上昇しています。現地の賃金上昇を上回るペースで住居費が高くなると、若者や一般家庭が中心部に住めなくなります。外国人、デジタルノマド、欧州富裕層、投資家による需要が市場を押し上げる一方、地元住民の住宅不足につながっている面もあります。
さらに、スペインは観光客が多すぎること自体が社会問題になっています。バルセロナやマヨルカ島などでは、観光客向け短期賃貸の増加によって長期賃貸住宅が減り、住民の家賃負担が重くなりました。その結果、民泊や短期貸しに対する規制が強化される地域もあります。
海外不動産投資では「観光客が多いから民泊で儲かる」と考えがちですが、人気が高すぎる地域ほど規制も強くなります。スペインで短期賃貸を前提に物件を買う場合は、国の法律だけでなく、州、市、管理組合のルールまで確認しなければなりません。
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