—本当に問題だったのは「国」か、それとも「判断」か—
東南アジアのプレビルド(建築前販売)投資で失敗したという話は、ここ10年ほどでかなり多く聞かれるようになりました。タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムなど、各国で一時期は日本人投資家の間でも人気が高まり、多くの人が参入したのも事実です。
しかしその一方で、「完成しなかった」「賃料が想定より低かった」「売れなかった」などの声が出始めたことで、今では「東南アジアのプレビルドは危険だ」と一括りに語られることも増えました。
ただ、実務の現場で様々な案件を見てきた立場から言えば、ここで一度冷静に考えてほしいことがあります。
本当に問題だったのは「東南アジア」という地域だったのか。それとも「投資の仕方」だったのか。
この問いを整理しないまま、「もう海外投資はやらない」と結論づけてしまうのは、正直かなりもったいない話でもあります。
多くの失敗は「国」ではなく「商品」で起きている
まず最初に理解しておくべきなのは、東南アジアで起きた多くの失敗は、必ずしも国の問題ではないという点です。
むしろ、実務の現場で見てきた失敗案件の多くは、「商品選び」の段階で既にリスクが高い状態だったというケースが目立ちます。
例えば、典型的なケースとしては、周辺の実需が伴っていないエリアに、大量供給されたコンドミニアムを購入してしまったというものがあります。開発当時は、「将来このエリアは大きく発展する」というストーリーが語られていたものの、実際には人口増加が追いつかず、賃貸需要が思ったほど伸びなかったという状況です。
結果として、完成後に大量の空室が発生し、想定していた賃料が取れず、売却もしづらくなるという流れに繋がってしまいました。
しかしこれは、「東南アジアだから失敗した」というよりも、「需要の裏付けが弱い商品を選んでしまった」という方が実態に近いケースが多いのです。
プレビルド投資そのものが悪いわけではない
もう一つ、強調しておきたいのは、プレビルド投資という手法そのものが悪いわけではないという点です。
実際、世界中でプレビルド投資は広く行われており、成功している事例も数多く存在します。特に人口が増加している地域や、都市開発が進んでいるエリアでは、プレビルド段階で購入することで、完成時点での値上がり益を狙うという戦略は、非常に合理的なものでもあります。
問題になるのは、「完成すれば上がるはず」という前提を、十分な裏付けなしに信じてしまうことです。
例えば、開発会社の実績や財務状況、過去の完成履歴などを十分に確認せずに契約してしまうと、最悪の場合、工事が遅延したり、計画そのものが頓挫したりする可能性もあります。
これは東南アジアに限らず、どの国でも起こり得るリスクです。
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