—「国が危ない」のではなく、「構造が危ない」ケースが多い—
海外不動産投資において、最も強い不安の一つが「完成しないリスク」でしょう。実際に、東南アジアや一部の新興国において、「工事が止まった」「予定から何年も遅れている」「最終的に完成しなかった」という話は、残念ながら現実に存在します。
こうした話を聞くと、「海外は危ない」「新興国は信用できない」と感じてしまうのも無理はありません。しかし実務の現場で多くの案件を見てきた立場から言えば、完成しない問題の多くは、単純に国の問題というよりも、「プロジェクトの構造そのもの」に原因があるケースが非常に多いのです。
つまり、「どの国か」よりも、「どういう仕組みで作られているプロジェクトなのか」を理解することが、完成リスクを見極める最大のポイントになります。
最も多い原因
資金計画が最初から成立していない
完成しない海外不動産の原因として、最も多く見てきたのが、「資金計画の甘さ」です。
特にプレビルド(建築前販売)型の開発では、購入者からの資金が、工事資金の一部として使われる構造が一般的です。これは世界中で行われている仕組みですが、問題になるのは、「自己資金が少なすぎる開発会社」が、この仕組みに過度に依存しているケースです。
例えば、本来であれば自己資金が30%程度必要なプロジェクトにもかかわらず、実際には10%程度しか準備されていないということもあります。この場合、販売が予定通り進まなければ、資金が不足し、工事そのものが止まってしまう可能性があります。
実務上、「販売が遅れた瞬間に工事も止まる」という構造のプロジェクトは、非常に危険な兆候の一つです。
銀行融資が止まった瞬間に崩れるケース
もう一つ多いのが、「銀行融資依存型」の案件です。
大型の開発では、多くの場合、銀行融資が組み込まれています。しかし、開発途中で銀行の融資条件が変更されたり、金融環境が悪化したりすると、資金供給が止まる可能性があります。
例えば、過去には次のようなケースがありました。
ある国で大型コンドミニアムの開発が進んでいましたが、途中で不動産市場が冷え込み、銀行側がリスクを懸念して追加融資を停止しました。その結果、工事資金が不足し、建設が途中で止まってしまったのです。
このようなケースでは、開発会社自体の問題というよりも、「金融環境の変化」が直接的な引き金になることもあります。
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